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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

今度のことにつけても、人と人とのいきさつというものの面白さ、複雑さをつくづく感じます。小母さまたちは、永年の生活の習わしの結果、目先、その場その場のいきさつ、表面での浅い親切、泣く笑うで気持が刻々動いて行くから、Tちゃんのことでも、ハアさて大変、ユリ子はんにたのもう。それ助かった。顕さんにも会えた。ホラいのう。こういうテムポです。じっくりするということはちっともしらずに暮していらっしゃる。顕さんの親切はようわかっちょるが、顔を見て、泣いて笑って、もうすんだお気です。将来の方針ということでも、どうも私が見てもたよりなぁありさまです。勿論、再び元の道にかえそうとは思わず、御自分のわるいこともわかっていらっしゃるが。

だから、ああやって電報下さると、何だか仕方なしなしいるみたいで、自分で自分がわかっていらっしゃらない。私たちに、あなたに何だか頸ねっこをギューと据えられたみたいな気もしていらっしゃる。笑えるけれど、腹も立つ。頼りない。Tちゃんがよっぽどしっかり腹を据えないと、ぐらつきます。話題にしろ、小母さまから、金の儲かった話、誰がなんぼある、又はすった話が、ここにいても出る。