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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页
「いらっしゃい!」
「ようこそ!」
二人の子供たちが駈け寄って来た。
「この子たちは、日本語がすこし出来るんですよ」
王様がいった。
じっと祥子の顔を見つめたまま立っている日本人に、
「園部さん、祥子さんです、どうです、大きくなったでしょう……、祥子さん、叔父さんの顔を忘れたんですか」
と、謙一がいった。
「あっ! 叔父さん――」
祥子は叔父の側に駈け寄った。叔父さんがマレーから東京へ来た時には、祥子はまだ二年生だった。それでも、叔父さんの顔は、はっきり覚えている。
父親とは兄弟仲がよくなかったが、祥子にはやさしい叔父さんだった。
「おお、祥子」
叔父さんは、祥子の頭をなでながら、ポトリと、涙を落した。
「こっちへ来る前に、叔父さんにちょっと知らしてくれれば、苦労はかけなかったのになあ……」
「園部さん、祥子さんが苦労して来たお蔭で、うちの英夫と、どえらいことをやってのけたんですよ、はっはっは」
「そうでしたなあ、はっはっは、バトパハへ知らしてよこしても、結局わしは方々に隠れていたんで行方知れずということになっていたんでしょうからね、いや、わしもいつの間にか愚痴をいうようになってしまいましたわい、はっはっは」