轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
「文藝春秋」1960(昭和35)年1月号~1961(昭和36)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,888 字 · 317 页
「浦粕では娘も女房も野放しだ」と、はっきり土地の人たちは云っているが、それでも嫉妬ぶかい人間もたまにはいて、ときに凄いような騒ぎの起こることも幾たびかあった。
助なあこの場合には、ねごとで恋の告白をしたというだけだったから、ほんのお笑いぐさとして忘れられてしまったが、傷ついた助なあことお兼とは、それぞれの立場で忘れることができなかったようだ。
初夏の或る午後、二人は根戸川の土堤で初めて話をした。その日は工場が休みで、助なあこは午めしのあと、本を二冊持って土堤へゆき、若草の伸びた斜面に腰をおろして、本をひらいた。読んでゆき、頁を繰るが、なんにも頭にはいらない。活字の列はただ素通りするだけで、一行読むごとにきれいに消えてしまう。彼は音読もしてみた、一句ずつ指で押えながらやってみたが、やっぱり同じことで、いくら繰返し読んでみても、なに一つ頭に残らないのであった。
そこへお兼が来た。彼女は助なあこのあとを跟けて来たのだ、まえから彼のようすを見ていて、自分のほうからきっかけをつけなければならないと悟り、その日ようやく機会をつかんだのである。
「あら、助さんじゃないの」