轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

「文藝春秋」1960(昭和35)年1月号~1961(昭和36)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,888 字 · 317 页

青空文庫

貝盗人

貝盗人

私は私の青べかで海へ出た。茶の入った大きな湯沸しと、魚煎餅とあんこだまと、二三冊の本を持って。夏でなくとも、晴れて風のない日に海へ出ると、水面からの輻射熱で暑い。私はパンツにポロシャツを着ただけで、大きな麦藁帽をかぶっていた。海へ出ると櫂をあげ、舟を流し放しにして本を読む。汐時さえ計っておけば、舟は殆んど同じところを動くことはない。読み飽きれば帽子を顔にかぶせ、舟底へ横になって眠ってもいい。或るとき眠り忘れて退き汐になり、そうなると櫂で漕ぎ戻るのは困難だから、少なからず狼狽したけれども、沖の漁から帰って来る知りあいの機械船をみつけて、浦粕まで曳き戻ってもらうことも覚えた。

春から初夏にかけて、浦粕の浜では「活け場」の看視人がいそがしくなる。

大汐のときには水際から四五キロも沖まで水が退き、ところどころ汐の溜りを残すほかは、見渡す限りの干潟になるため、汐干狩の客の多いことは云うまでもない。これらの中には狡い者があって、看視を怠ると貝の代金を払わずに帰ってしまう。ついうっかりして忘れる客もあるが、計画的に貝を盗みに来る者もあるので、客の混むもの日など、番に当った看視人は精根を使いはたすのが常であった。