轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
「文藝春秋」1960(昭和35)年1月号~1961(昭和36)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,888 字 · 317 页
白い人たち
ときん夫人は云った、「もうどうしようもないし、自分たちの責任が怖くなったんでしょ、荷物を纏めて逃げちゃったそうよ」
私は茶を啜ってから、質問した。
「そうでもないわ」ときん夫人は云った、「小屋主の森さんはいきり立ってるそうだけれど、保険もたくさんかけてあるし、本家(というのは十台島の高品さんであるが)の話によると、森さんは毀して建て直すつもりだって云ってたそうですもの、お菓子があるけど出しましょうか」
私は礼を云って立ちあがった。
「可哀そうなのはあの役者たちよ」ときん夫人は炉端から云った、「あの夜更けの雨の中を、どんな気持で逃げていったかしらねえ」
白い人たち
遠くから見ると、その工場はいつも白い霧に包まれている。工場から立ちのぼる湯気のような、湯気よりも濃密な白い煙が、風の吹く日は風の吹く方向へなびき、風のない日は立ちのぼったところから下へ、ゆっくりと舞いおりて来て、工場や付属の建物や、その周囲一帯の地面やくさむらや、道を隔てた根戸川の揚げ場までを、まっ白に塗りつぶすのであった。
そこは東に百万坪の荒地へ続く芦原、西は根戸川に接していて、工場のほかに事務所と、工員たちの小さな住宅があり、貝殻置場と薪小屋が並んでいた。