轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
「文藝春秋」1960(昭和35)年1月号~1961(昭和36)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,888 字 · 317 页
と栄子はそろそろ酔いだした口ぶりで云った、「飲ましてね」
岸がんは店の金を五〇〇も使い込んだのであった。彼には妻もあり子供が三人もいたが、栄子のことが頭にきて、つい知らず店の金に手をつけた。はじめは五か一〇くらいで、それは集金の操作でうまくまじくなったが、一〇が一五となり一八となるうち、ますます栄子に熱があがり、ここが男のみせどころだと、すっかり太っ腹になってしまった。――そうしてついに、その金額が五〇〇という高額に達し、支配人に発見されて返済を迫られた。
――金を返さなければ訴える。
支配人は七十幾歳にもなるのに、まだ頭の毛がまっ黒で青年のようにふさふさしていたし、眉毛も黒く、幅が三ミリもあるかと思われるほど太かったが、その太くて濃い眉毛をぴくぴくさせながら、やさしい声でそう云い渡した。岸がんは駆けずり廻ったが、借りられる額はせいぜい二〇〇で、あとの三〇〇はどうにもひねり出しようがない。支配人は全額を要求するし、できなければ手がうしろへまわる。それでは妻子にも世間にも顔むけがならないうえに、かたときも栄子とはなれては生きられないから、いっそ二人で死ぬ決心をした、と云ったそうである。