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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页

青空文庫

……ということになってしまいましたので。いやもうこれが当然で、こういかなければおもしろくない。……そりゃアそうさ!」と急にゾンザイになった。「日本の国さえ買えようという、そんな素晴らしい財宝が、そんなチョロッカの方法で、ほんとに発見出来ようものなら、財宝の値打ちがさがりますからなあ。でわれわれ一同の者、かえって気持ちがセイセイし、大きく笑ってあきらめかけた時、とんでもないことが出来してござる。というのはさっきも申しましたとおり、巻軸のおもてへ数行の隠語が、忽然として現われたのでございますよ。そこで再び煩悩が起こり、山川越えて大江戸から、富士見の高原までまかりこし、そうしてこうやってご貴殿と、話をするようになりましてござる」

ヒョイと顔を突き出したが、額ごしに柴田三郎兵衛、将右衛門をギロリと見たものである。

「お話し致そう、その隠語をな!」

「それには及ばぬ!」と富士見の将右衛門、はじめてこの時声を響かせた。「その隠語なら、拙者より申そう!」

明払暁まで

「その隠語なら、拙者より申そう!」こういった富士見の将右衛門の声、りんと響いたものである。

「これは素晴らしい! 申されるか!」