轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页

青空文庫

と一角は気の毒そうに謙遜する。

「こう並んだ後ろ姿をみても、新九郎様と金井さんたあ骨格からしてでかい違いだ。どう見ても山村座の若衆という姿だ。すれ違う女の眼で、こっちへ黒目を流さねえ奴はありゃしねえ、柔術と剣術にゃ不向きに出来ているんだから、こいつあどうも仕方があるめえなあ」

「無駄口を叩くなと申すに」

「いやいや、利助の云う通りに違いない。今日で五十日も工夫していますのに、何としても金井殿の体術が破り得ぬようでは……」

と新九郎は足を運びながらも、涼み船の遊楽などは頭にない様子で、ひたすら柔術の工夫に熱している。その一念な態は、往来の者の眼にも、ややおかしいくらいに見えるのだった。

「おお新九郎様。さんざんお待ち申しておりました。たまにはすこし、肩の凝りをほごさなくッちゃいけません」

舷に立っていた生不動は彼の姿を見ると気が済んだ様子で、すぐ繋綱を解いて棹を突かせた。

今しも、紺色の水が、満々と暮れかけている大川の中へ、一同を乗せた山一丸も漕ぎ出して行く――

慶安時代から流行りだした船涼みは、その頃全盛で、岸には船宿の軒行燈、川には屋形や伝馬の灯が縒れ合って、絃歌の飛沫に川波の鼓、紫幕立て槍の旗本連もあれば、金襴縁の御簾を下げた大身のお忍船もまま見える。