轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
しかし、さすがに小六の眉間がピリと動いたのでその苦い気配を早くも察した大月玄蕃が、巧みに話をそらしてしまった。
「ところで小六殿、話は別だが、これから一体どこを打って廻る心算かの?」
「折角盛った賭け試合も、あんな野放図もない腕ききにあっちゃあたまらないが、まだ田舎廻りをすれば随分面白いことがあろうというものだ。先ずこれから、宇都宮、大田原の城下などを振り出しに奥州路から中仙道へ折れ、あわ好くば四国西国をも一巡して来ようかと存じておる」
「成程それもよかろう。しかしこの宿を立たぬうちに、拙者が頼んでおいた例の一条、あれから先に片づけてゆかねば、永い道中何となく気がかりで相成らぬが」
「ご心配あるな、この金井一角もその儀はとくと含んでおります」
「そういうときには、不意打ちの世話も要らぬ投げ槍の極意で、小六もきっと腕をお貸し申そう」
「そう聞いて玄蕃も安堵いたした。しかしもう今夜あたりはこの宿へかかって来る筈だが……」
玄蕃が二人を組させたこととは、云うまでもなく重蔵と千浪を、再びここで返り討ちにしてしまおうとの魂胆らしい。浅草の小屋へわざと自分の名を掲げておき、二人を奥州街道へ釣り出そうとした苦肉な策を思い合せれば彼の毒刃がどこまで執拗なのか、真に慄然たるものがある。