轻松读懂日语经典作品
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
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「御曹子の親分、この通り、丁肩ズラリと五十両の駒が揃いました。親分一人の向うを張って布いた陣、ささ駒を並べておくんなさい」
と、眼を血走らせているのは袁彦道の胴元、盆蓙の周りには、十四、五人の男が、同じように、生唾を呑んで、よからぬ弄みに夢中の態。ここは紀州屋敷の仲間部屋で、夜ごと大きな賭博が開帳され、公然と、大名の門をてら箱が出入りする遊び場所、新九郎はこの浅ましい人間どもの中に挟まって、じっと腕をくんでいる。
「どうしたッてんです。御曹子の親分ともある者が、嫌に今夜は渋るじゃありませんか。ようがすか勝負」
「待て――」
新九郎は慌てて胴元の手を押え、
「実あ、まだ二百両ぐらいはある気で、半肩へ声をかけたが、いつの間にかすっかり懐中がはたけてしまった。面目ねえがこの勝負は待ってくれ」
「冗戯云っちゃいけねえ、博奕と喧嘩は待ったなしだ。この頃日の出の勢いで売り出した親分が、賭場の作法を知らねえじゃ通るめえ。丁肩へこの通り揃えた駒をどうしてくれるんだ」
「む……」
と、真から困った態。
何と云っても、こんな社会に日の浅い新九郎は、どこか鷹揚、菖蒲の寮という金の尻押しがあるに任せて、よい食い物にされていた。