轻松读懂日语经典作品
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
「お通様か……」
と冷たく言った。
「ようご無事でいて下さいました、菖蒲の寮が焼けた夜から、皆目お行方が知れぬとやらで、どんなにお案じ申していたか知れませぬ」
「いいえ、この光子は、滅多にそんな不覚はしませぬ、決して案じて賜もるな」
「それはとにかく、このような侘しい家においででは、定めしご不自由でござりましょう。また上様にお願いして、どこぞへ美々しいお屋敷を建てて戴きまする」
「何の、もう前のような暮しは懲々じゃ。どうぞしばらくの間は、何も構わず、ほっておいて下されいの、我儘な姉を持って、定めしそなたさまも大奥で肩身が狭かろうが……」
「…………」
お通の方は睫毛に水晶のような涙を泛かべた。――姉妹とも下冷泉家の息女、玉の如き麗色に劣り優りはないが、今の境遇と気性は怖ろしい隔たりである。
将軍家綱の寵を一身にあつめているお通の方も、御方の切下げ髪を見たり、悪い噂を聞いたりする度に、その身が針で刺されるように辛い。――どこまで淪落して行く姉であろう、どこまで荒んで行く心であろう――一つはそれも心配でならないのだった。
今日、お忍びでここへ尋ねて来たのも、妹ながらすこしは意見をのべるつもりであったが、逢って見ると姉の強い気性に押されて、お通の方はただ涙ぐんでしまうばかり……そのうち、侍女から時間を注意されて、すごすご