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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 页
その深山木さんが殺された、しかも初代さんの時と同じ様な謂わば神秘的な方法でやられた。とすると、この二つの事件には何か聯絡があるのではないかと考えたからです。そして、僕は一つの仮説を組立てた。仮説ですよ。だから、確実な証拠を見るまでは、空想だと云われても仕方がない。併し、その仮説が考え得べき唯一のものであり、この一聯の事件のどの部分に当てはめて見ても、しっくり適合するとしたら、我々はその仮説を信用しても差支ないと思うのです」
諸戸は酔と興奮との為に、充血したまなざしをじっと私の顔に注ぎ、乾いた唇を嘗め嘗め、段々演説口調になりながら、益々雄弁に語り続けるのであった。
「ここで初代さんの事件は一寸お預りにして、第二の殺人事件から話して行くのが便利です。僕の推理がそういう順序で組立てられて行ったのだから。深山木さんは衆人環視の中で、何時、誰に殺されたのか全く分らない様な、不思議な方法で殺害された。ごく近く丈けでも、絶えずあの人の方を見ていた人が数人ある。君もその一人でしょう。その外、あの海岸には、数百の群集が右往左往していた。殊に深山木さんの身辺には四人の子供が戯れていた。