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とうおういぶん
東奥異聞
佐々木 喜善
「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页
カニは甲羅が砕けて死んだ。そのときサブキのなかに隠れていてこのことを見ていた子ガニは、大きくなって親の仇討ちに出かけた。
子ガニに加勢をしたのは、臼と、トチの実と、ベゴの糞と、クリの毬であった。それらがサルの家にいって待伏せしていた。子ガニは水コガのなかにはいり、臼は上戸の上梁に上り、ベゴの糞は上戸に、クリの毬は横座に、トチの実は炉の火戸に潜んでいた。サルは外から、ああ今日は寒々といって帰ってきて、横座にどかりと踏み跨がって腰をおろすと、トチの実がドンといってはねてサルのふぐりにいって当たった。サルは熱いっと叫んで尻退りすると、クリの毬に尻をじくりと刺された。熱いと痛いので水コガに駆けこむとなかに子ガニがいて、親の仇だ思い知れっといってサルのふぐりを鋏で切り取った。サルは泣きながら水コガから飛び上がって上戸に走せてゆくと、またベゴの糞で滑ってころんだ。そこを上から臼が落ちてきてビチョリと押し潰して殺してしまった(大正十二年一月三十一日。村の古屋敷庄治という青年の話)。
サルカニではないけれども、前話と同類系の話に、サルと蝦蟇の話も聴いた。
ある山麓のお寺の後ろの池に、蝦蟇どもが集まりて、はあすぐに彼岸もくるから、餅でも搗いて上げ申すべといって餅を搗いていた。