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とうおういぶん
東奥異聞
佐々木 喜善
「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页
そこにサルがきて、汝ちはなにしに餅をついているといった。わけを話すと、それでは搗いてすけるという、搗いてすけられているといいかげんごろにサルは餅を臼ごとに引っ担いで奥山に逃げていった。
蝦蟇はあとを追ってゆくと、餅は山の途中に落ちてあった。それを拾って仲間のところに持ち帰ってみんなで食べていた。
サルは家にいって臼をおろしてみると餅はない。引っ返して捜してみたがどうしてもわからぬ。とうとう先の池のほとりまできてみると、蝦蟇どもがいま最中食っているところであった。そこでサルは怒って、おまえたちはなにしておれの餅を食っていれぁと、どなった。
蝦蟇どももおもしろくないので、その餅はいま食ってしまったと返答した。サルはひどくゴゼを焼いて(怒って)その餅よこせえ。よこさねばお前らを踏み潰すぞとおどかした。
蝦蟇どもは、そんだらみな出してやんべい。この悪ザルめ、それっといって、みんなでいま食った餅をゲロゲロと吐き出して、サルの面に投げつけた。サルの面に餅がくっついて放れなかった。むりに放すべえと思うと皮がたくれていまのように赤くなった(大正七年十一月二十日。