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とうおういぶん
東奥異聞
佐々木 喜善
「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页
(2)アラミと陸中の和賀稗貫江刺の郡々の一部地方を遠野郷の人がこう呼ぶ。花若話はつぎの嫁子ネズミの話の後段を参照せられたい。
(3)この昔話は、山城国蟹満寺の縁起と同型であるが、ただ説話としては蟹満寺縁起などよりは、はるかに純朴である。娘を三人もった父親があった。ある日父親が庭前に出ていると一匹のヘビがカエルを呑もうとしている。父親は慈悲深い人であったから憐愍の情に堪えずそのカエルの生命を助けたら娘を一人おまえにやろうというと、ヘビはそのままにカエルを放していずかたへか去った。けれどもそれからは父親の心労は甚だしかった。二人の娘はいたく父親の軽率を非難したが、末の娘は父上心配なさるな、私がヘビの嫁にゆこうという。それから縫い針千本に瓢箪に水銀をいっぱい詰めたものを父親からもらい受けて、翌朝迎えにきたヘビの男に連れられてゆく。山の奥へゆくと古沼があって、ヘビはここはわが棲み家だからこのなかにはいれという。娘は針を水の上に浮かべさせ、この瓢箪を水の底に沈めたらいうことを聞くというと、多数のヘビどもが出てきて針を浮かべようとして目を刺され盲となり、瓢箪の水銀を呑んでみな死んでしまう。