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とうおういぶん

東奥異聞

佐々木 喜善

「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页

青空文庫

その掛ける柱をこの地方では竈男と言い、その面をばヒョウトク、あるいはショウトクなど呼んでいる。そうしてそれをこうしておくという由来については、こんな話があるからひとつ語りましょう。

昔々、爺と婆があった。爺は山に柴刈りにいって、大きな穴を一つ見つけた。爺はこんな穴にはきっと悪いものが住むものだ。塞いでしまったほうがよいと思って、一束の柴を穴の口に押しこんだ。そうすると柴は穴の栓にはならずに、するすると穴のなかにはいっていった。また一束押しこんだがそのとおりで、それから、もう一束もう一束と思ううちに、三月がほどかかって刈り溜めた柴をことごとくその穴に入れてしまった。

そのときに穴のなかから、美しい女が出てきて、たくさんの柴をもらったことの礼を言い、どうか一度穴のなかにきてくれという。爺はこんなときだ、キツネに化かされるのがと思って辞退したが、女がたってよけいに勧めるので、ついはいってみると、なかには目の覚めるようなりっぱな館がありその家の脇には、爺が押しこんだ柴がちゃんと積み重ねられてあった。

それから爺はたんと御馳走になって、帰りしまにこれをやるから連れてゆけといわれたのが、一人の子どもであった。