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とうおういぶん
東奥異聞
佐々木 喜善
「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页
なんともいえぬ見ともない顔の、臍ばかりいじくっている子であった。ぜひくれると、たっていわれるので、爺はしぶしぶ連れ帰って家においた。
ところがその子どもはしじゅう炉にばかりあたって、腹をあぶりながら、あまり臍ばかりをいじくっているので爺は火箸でちょいとお臍を突いてみると、そこからぶつりと金の小粒がこぼれ落ちた。それからは一日に三度ずつそこから小金が出て爺の家はおかげで富貴となった。
だが婆は欲張り女であったもので、もっと多くの小金を出したいと思って、爺の留守に子どもの臍を火箸でぐんと突くと、金は出ないで子どもは死んでしまった。爺は戻って、これを知って、ひどく悲しんでいると、夢にその子どもが出てきて、泣くな爺さま、おれの顔に似た面を粘土で造って、毎日よく目にかかる竈の柱に掛けておけ、そうすれば家がかならず富み栄えると教えてくれた。この子どもの名まえをばヒョウトクといった。それゆえこの辺の村々では今日までも、醜いヒョウトクの面をば粘土や木で造って竈男という柱に掛けておく。これを竈神とも竈地蔵とも、また名まえそのままヒョウトクとも呼んでいる(1)。
自分は好例をあまた挙げる知識をもたぬが、火を司る者が人類にもっともたいせつな役目であった。