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とうおういぶん

東奥異聞

佐々木 喜善

「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页

青空文庫

女から、淵の主の妾の父が、おまえに何か礼にやるというから、そのときにはこれこれのものをくれといえとあらかじめおそわってゆくというところがすこし違っている。それから、前話ではもらってきた童がなにもせずに炉傍で臍ばかりいじくっているが、このほうでは、そうでなく非常に働くが人目に触れるのを嫌って、爺に頼んでデイあるいはデコ、すなわち奥座敷の物の陰に隠しておいてもらっている。爺の家がこの童のお陰で非常に福々になるが、爺は野良から還ってくると、かならずデコにいって、にこりと微笑して出てくるので、婆はへんに思い気を悪くする。ある日爺が留守のとき、婆がデコにはいってみると、櫃の陰から、なんともかんともいわれぬ醜いカブキレワラシが出てきたので、箒でもって頭を打ちたたき、外へ追い出した。童はおいおい泣きながら出ていった。それからはまた、家が元の貧乏に還ったというすじの話である。

この話は一見ヒョットコの話とは縁も由縁もないようではあるが、よく考えると非常におもしろい話である。ヒョットコが一面、福神であるから、これも似ている話くらいのところで引いてきたくらいの程度の問題ではなく、この話には他面の童形の福神性のもの、ザシキワラシの秘密を開く鍵をその懐中にそっと入れてあるようにも思われる。