轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
とうおういぶん
東奥異聞
佐々木 喜善
「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页
ことであると。備考にちょっと話を入れると、この石神は元釜石町と荒川村との境の山上におったに、釜石の者どもずっとその神の位置を移動させて荒川村のほうへ食いこませ、ここまでがこちらの領分なりと言いおったが、あらふしぎや一夜のうちに、はからずも石神飛び出して、とんでもなき方角違いの中妻の里に落ちたものだという。これは千曳きではなくてあるいは千段落しの憂きめにお遭いなされたものかもしれぬ。とにかく石神移動の一例である。陸中遠野郷青笹村字中館という所の里道の傍らに一の丸石あり、ちょうど通行人の腰掛けて憩いたそうなあんばいの石なので、村の誰彼はなにげなく腰を掛けると、たちまちに気分がへんになり家に帰り病むことちょうど傷寒のような容体であった。これはおかしいと巫女に聞くと、それはもとチビキの石であるからだという。しからばそのチビキとはなんのわけかと問うたらば、チビキは血引きで人の生き血を石に塗るのだということであると話した。これを又聞きした私はどうもよけいに話が壺にはまっているので少々不安を感じ、元のこの石のある付近一体の所有者であった昔の遠野郷の領主、いまの南部男爵の一家老の中館氏の当主の友人にただすと、その石の話はまったくの真実チビキの石であると余の祖母から聞いていたが、人の生き血を塗ったかどうかはわからぬ。