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あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

「文藝春秋」1960(昭和35)年1月号~1961(昭和36)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,888 字 · 317 页

青空文庫

――書きかけの原稿は第四幕のクライマックスで、一人の逞しい美青年が台の上に半裸で立ち、下にいる青年や乙女たちに、いさましく叫びかけているところだった。

青年A (胸を叩き両手を高くあげて絶叫する)おれのこの肉躰を見ろ、おれはきさまたちより美しく健康だ、おれはきさまたちの三人まえ喰べ、十人まえ働く、この広大な土地の整理や灌漑法の計画をたてたのはおれだし、収穫物の管理や貯蔵を立案したのもおれだ、いったいこの竜宮国を運営し、繁栄にみちびくのは誰か、AグループにいるかBグループか、(中略)おれこそはその者だ、たったいまからおれがこの国の支配者だ(彼はさらに両手を高くあげて叫ぶ)、よく聞くがいい、おれはいま乙姫がおれの妻だということを宣言する、反対する者があったら出て来ておれとたたかえ、乙姫はおれのものだ。

老人 (隅のほうで低く独白する)私はなにをしたのだ、あれだけの情熱と努力をそそいで築きあげたものがこれか、これが待ち望んでいたその果実か(彼は泣く)。

青年A おれはこの国の王だ。

私は火鉢に炭を足そうか、それとも寝てしまおうかと迷う。その戯曲の中では、青年Aが「おれが王である」