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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁
「……そ、それも、考えぬではござりませんでしたが」
「考える? 何をその期に、猶予などを! ――衆を恃んで、佐々木どのをこれへ誘き寄せ、打たんとした卑劣は、お身の今いったことばで自白しておるではないか。――それにひきかえ、佐々木小次郎なる者の態度、見上げたものだと、わしは思う」
「…………」
「――単身わしの前へ来て、卑劣な弟子など、相手に取るに足らぬ。弟子の非行は師の非行、立ち合えとばかり、挑みかかった」
弟子の座の人々は皆、さては、最前のいきさつは、そうした動機から起ったことかと――頷いた気色だった。
忠明は言葉をつづけ、
「しかも、ああして、真剣と真剣とで、立ち向ってみた結果は、この治郎右衛門自身の中にも明らかに、恥ずべき非が見出された。わしはその非に対して慎んで降ったといった」
「…………」
「寅之助、これでもそちは、自身を省みて、恥なき兵法者と思うか」
「……恐れ入りました」
「去れ――」
「去ります」
寅之助は、俯向いたまま、道場の床を、十歩ほど退がって、両手をつかえて坐り直した。
「先生にも、御健勝に」
「うむ……」
「御一同にも」
と、さすがに、声が暗くなって、後はかすかに、別れの挨拶をした。