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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

三

もう、桜は八重も、散りしいて平庭の泉石の陰を綴って、つつじが真っ紅に咲いていた。

「在宅か――」

と、おとずれ、案内の小侍について奥へ通って来ると、

「おう。岩間どのか」

居間は、陽影のみで、主の佐々木巌流は、庭に立っていた。

鷹を拳に据えて。

そして、よく馴れている鷹は、彼が嘴の先に出している掌の上の餌を、おとなしく喰べていた。

三

主君忠利の命で、武蔵との試合が決定してからほどなく、君公の思いやりもあり、岩間角兵衛のとりなしもあって、――当分の間、隔日の御指南の儀、登城に及ばず。

と、それまでの、心静かな休養をゆるされて、毎日、屋敷に閑を楽しんでいる彼であった。

「巌流どの。きょうな、いよいよ御前で、試合の場所の評議がきまった。――で、さっそく、お耳に入れに来たが」

角兵衛は、立ったままいう。

小侍が、書院の方から、

「どうぞ」

席を設けて、すすめている。角兵衛はそれへ、ウムと頷いたきりで、

「初めは、聞長浜にしようか、紫川の河原にしようか、などと所々、御評議にのぼったが、とても左様な手狭な場所では、たとい矢来を結い繞らそうとも、おびただしい見物の混雑はふせぎきれまいとのことでな……」