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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁
馬の沓
一
(勝たねばならん! 勝たねばならん!)
人知れず――いや自己さえ意識なく、風騒ぐ池の面の小波のように絶え間なく胸に繰返していた。
宵になった。
誰が探り、誰が報らせて来たか広間に集まって、酒を酌んだり飯を食べたりしている大勢の間に、
「きょう、武蔵が着いたそうだ」
「門司ヶ関で、船より上がり、御城下へ姿を見せたというが」
「では多分、長岡佐渡のやしきへ落ち着いたことだろう。誰か後で、佐渡のやしきの様子を、ちょっと探って来てはどうか」
などという声が、今宵にも大事が到来しているように、物々しく、しかし密々と伝えられていた。
馬の沓
一
――すでに巌流のやしきへは、早耳に伝わっていた通りに。
武蔵の姿は、同日の夕方には、もう同じ土地に見出すことができた。
武蔵は、海路の旅を経て、それより数日前に、赤間ヶ関へ着いていたらしいが、誰あって彼を彼と知る者はなく、また、彼自身も、何処かへ引籠ったまま、身を休めていたらしい。
その日、十一日には、向う陸の門司ヶ関へ渡り、やがて小倉の城下に入り、藩老長岡佐渡のやしきを訪れ、到着の挨拶を述べ、また、当日の場所、時刻、承知の旨を一応答えて、すぐ玄関で帰るつもりであった。