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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

六

「道場の方へ集まれ」

と、命じて、自身が先に彼方へ歩いて行った。

六

どうした理なのか?

門人らには、分らないのである。第一、かりそめにも、師の治郎右衛門忠明が、小次郎に対して降ったとさけんだのが、心外であった。

(あの一声は、きょうまでの無敵小野派一刀流の誇りを、一敗地にお汚しなすってしまったものだ)

と、青白な面のうちに、怒りに似た涙をのんで、忠明の顔を、睨めつけている門人もあった。

道場へあつまれ――と呼ばれてそこに坐った者は、約二十名ばかり、三列になって、板の間に、ぎしっと固くなって、坐っていた。

治郎右衛門は、上座の――一段高い席に、寂と坐って、それらの顔をしばらく眺めていた。

「さてさて、わしも年齢を老ったものである。つかの間に、時代も遷ってゆくな」

これが、やがて忠明の唇から流れた――最初のことばだった。

「過去、自分の来た道を顧みてみると、師の弥五郎一刀斎様に仕えて、善鬼を仆した頃が、自分の剣が最高な冴えを示した時であり、この江戸表に、門戸をもって、将軍家の御師範の端に列し、世間から無敵一刀流とか、皀莢坂の小野衆とか、いわれ始めた頃はすでに、わし自身の剣としては、降りへ来ている頃だった」