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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

五

「何じゃ、何か用か」

と、訊ねた。

「はい。岩国から来たが、小次郎に会わせてくだされと――お身寄りの方らしいご老婆が、ただ今、玄関に見えられましたので」

取次役は、いそがしげに、いうことだけをいうと、足を移して、次の間をのぞき、また、次の間をさがし、小次郎の姿を求めて行った。

「はて、お居間にも見えぬが」

つぶやいていると、そこを片づけていた小間使のお光が、

「鷹小屋にいらっしゃいます」

と、教えた。

五

やしきに満ちている客をよそに、巌流はひとり鷹小屋にはいって、止り木の鷹と、もくねん、むかい合っていた。

餌をやったり、抜け毛を取ってやったり、拳に乗せて、撫でたりなどして。

「先生」

「――誰だ」

「玄関の者でございます。ただいまお表へ、岩国から御老母様が、はるばる、訪ねておいでなされました。小次郎に会えばわかる者――とおっしゃるのみで」

「老母が。……はてのう? わしの母はもうこの世にいない人だ。母の妹にあたる叔母御であろう」

「どこへお通しいたしましょうか」

「会いたくないなあ。……かような時には、人には誰とも会いとうない。……だがまあ、叔母御とあれば、ぜひもなかろう。