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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁
三
「どうぞ」
と、またお辞儀をして行った。
「いや、わしはいらぬ」
という武家もあって、彼の捧げている盆には、まだ二ツの茶碗が熱い麦湯を湛えて残っていた。
「お取り下さいまし」
伊織は、最後に、巌流のまえに立って、盆を向けた。巌流はまだ気づかず、何気なく手をのばしかけた。
三
――はッと、巌流は手をひいた。
触れかけた熱湯の茶碗が熱かったためにではない。
手が、そこまでゆかない間に、盆を捧げている伊織の眼と、彼の眼とが、かちっと、火華を発したように、出会ったのであった。
「あっ。そちは――」
巌流の唇が、こう愕きを洩らすと、伊織はそれとは反対に、噛んでいた唇をやや弛めて、
「おじさん。この前会ったのは、武蔵野の原でしたっけね」
にっと笑って見せたのである。――稚い、まだ小粒な歯を見せて。
その、小癪な不敵さに、
「何!」
巌流が、思わず、大人げもない声を釣り出されて、何か、次のことばでも吐こうとしたらしく見えたせつな、
「覚えているかっ!」
と、手に捧げていた盆を――それに乗せてある茶碗も熱湯も共に――がらっと、巌流の顔を目がけて抛りつけた。
「――あっ」
巌流は、腰かけたまま、顔をかわし、途端に、伊織の腕くびを引っつかんでから――