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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

二

二

芝浦の浜から五町も沖へ出たが、そこらもまだ、棹の立つほど浅かった。

「旦那、あっしに、金を儲けさせてやるってえのは、一体どんなお話ですか」

「まあ、悠りと……」

と、質屋の旦那という男は、巨きな体を、ずしりと小舟の胴の間に坐らせて、

「又さん、そこの釣竿を舷から出しておくといいな」

「どう出しておくんで?」

「釣をしていると見えるようにさ。――海の上だって、あの通り人目があらあな。用もない舟で、二人が首を突き合せていたら、疑われるだろうじゃないか」

「こうですか」

「む、む、それでいい……」

と、陶器作りの煙管に、上等なたばこをつめて、くゆらしながら、

「わしの肚をはなす前に、又八さんに訊くが、おまえの住んでいる長屋の衆などは、この奈良井屋をどう噂しているね?」

「お宅のことですか」

「そう」

「質屋といえば、因業ときまっているが、奈良井屋さんは、よく貸してくれる。旦那の大蔵様は、苦労人でいらっしゃると……」

「いや、そんな質屋稼業のことでなく、この奈良井屋の大蔵を」

「よいお人だ、お慈悲ぶかい旦那だと、まったく、お世辞ではなく皆申しておりますが」

「わしが、信心家だということは誰もいわないか」