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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

二

そうわしを困らせずに、ともあれ一度、藩邸へお顔を出してもらいたいが」

「よろしい」

小次郎は、恩にでも着せるように、頷いて、

「行って上げましょう」

といった。

角兵衛は欣んで、

「では、今日にも?」

「左様、今日参ろうか」

「そうして欲しい」

「時刻は」

「いつでもという仰せでござったが、午すこし過ぎならお弓場へ出ておられるから、窮屈でもなし、気も軽く、拝謁できるが」

「承知した」

「相違なく」

と、角兵衛は、念を押して、先に藩邸へ出かけて行った。

その後で、小次郎は悠々身支度をした。身装などは関わない豪傑ふうなことを常にいっているが、彼は実はなかなか洒落者で、非常に見得をかざる質だった。

羅衣の裃、舶載織の袴、草履も笠も新しいのを出させ、岩間家の仲間に、

「馬はないか」

と、訊ねた。

坂下の花屋の小屋に、主人の乗換馬の白が預けてあるからと聞いて――小次郎はその花屋の軒に立ったが、きょうも老爺はいなかった。

そこで、彼方の境内を見ると、寺の横に、その花屋の老爺だの僧侶だの、近所の人々が大勢して何か首を集めて騒いでいた。

二

何があるのか――と小次郎もそこへ行ってみた、見ると、菰をかけた一箇の死体が地上にある。