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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁
五
五
幾棟かの長屋がある。藪や雑木を伐り拓いて、どしどし人間が先へ住み出したといったような、この附近の開け方であった。
道などは、後のことで、人が歩けば、それからつくし、下水なども、戸ごとから、行水の水や台所の汚水で、流るるままに出来たものが、自然小川へ落ちて行く――でいいとしている。
何しろ、急激に殖えてゆく江戸の人口は、それほど無神経でなければ納まりがつかなかった。その中で多いのは、やはり労働者であった。わけて河川改修と、城普請の仕事に就く者たちである。
「又八さん、帰ったのか」
隣の井戸掘りの親方がいった。親方は、盥の中にあぐらをくみ、横にした雨戸の上から首を伸ばしていったのである。
「やあ、行水ですか」
今、家へ戻って来た又八がいうと、盥の中の親方は、
「どうだい、わしはもう上がるところだが、一浴びやっては」
「有難うございますが、宅でもきょうは、朱実が沸かしたそうですから」
「仲がいい」
「そんなでもございません」
「兄妹か、夫婦か、長屋の者もまだよく知らないが、一体どっちなんだね」
「ヘヘヘヘ」
そこへ、彼女が来たので、又八も親方もだまってしまった。
朱実は、提げてきた大きな盥を、柿の木の下におき、やがて、手桶の湯をあけた。