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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

六

「……?」

武蔵は、不審に打たれていたが、人々のすることを、おかし気に見たり、疑ってみたりする気には毛頭なれなかった。

だまって、謹んで見ていた。

「作れたかな」

やがて、香山半太夫老人がいって、他の者を見まわした。

老人はもう、一足の沓を作り上げていた。

「出来ましてござりまする」

次に、木南加賀四郎。

「てまえも」

と、安積八弥太も、作り上げた一足を、香山老人の前に、さし出した。

順々に、積んで、六足の沓ができた。

そこで人々は、袴のチリを払い、羽織を着直して、六足の馬の沓を、三方にのせて、六人の中ほどに据えた。

また、べつな三方には、用意して来た杯が乗せられ、側の盆には銚子も供えて、

「さて、御一同」

と、年長の内海孫兵衛丞から、改った挨拶が述べられた。

「――われらにとって忘れ難い慶長五年、その関ヶ原の役より、はや十三年になり申す。お互に思わざる生命を長らえ、今日、かくある身は、偏に、藩主細川公御庇護に依るところ。御恩のほど、子孫まで忘れては成り申さぬ」

「はい……」

一同は、やや俯し目に、孫兵衛丞のことばを、襟を正して聞いていた。

「――とはいえ、今は亡びたりといえ、旧主新免家の代々の御恩も、忘却してはならぬ。