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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

三

三

山づたいに二人はようやく逃げのびて来たのであった。そこは秩父から入間川の方へ降る正丸峠の上だった。ここまで来るとやっと、自分たちを、

(宝蔵破りの盗賊の一類)

と、竹槍や猪鉄砲で追う住民も後に見えなくなった。

権之助と伊織とは、そうして自分らの安全は得たが、武蔵の安否はわからなかった。いや、よけい不安が濃くなった。今になって考えると、武蔵は、宝蔵破りの巨魁と間違われて、縄をかけられたものであろう。そして彼が、べつなことで、自首した行為をも穿きちがえられて、秩父の獄へ曳かれて行ったに相違ないと思われた。

「おじさん、武蔵野が遠くに見えて来たよ。だけど、先生はどうしたろうな。まだ役人に捕まっているかしら?」

「ウむ……。秩父の獄舎に送られて、今頃はさぞ難儀な目に遭っておいでだろう」

「権之助さん。先生を助けてあげることはできないの」

「できるとも。むじつの罪だ」

「どうか、先生を助けてあげてください。この通りおねがいします」

「この権之助にとっても、武蔵様は、師と同様なお方。頼まれなくても、きっとお助けする考えでいるが――伊織さん」

「え」

「小さいおまえがいては足手まといだ、もうここまで来れば、武蔵野の草庵とやらへ、一人でも帰れるだろう」