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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

武蔵が、われにかえると、

「ア。もう舞ってる」

と、伊織は、心をもうそこへ飛ばして、

「先生、何を見てるんです」

「べつに、さしたることではないが――伊織、おまえは一人で神楽を見ておれ、ちと、用事を思い出したゆえ、わしは後から行く」

そういって、彼を追い遣り、武蔵はひとり、社家の方へ歩いて行った。

「寄進者のことについて、ちとお伺いいたしたいが」

と、いうと、

「ここでは、扱いませぬが、別当総役所へ、ご案内いたしましょう」

と、少し耳の遠い老禰宜が、先に立って、導いてゆく。

総別当高雲寺平等坊という大きな文字が入口に厳しい。宝蔵らしい白壁も奥に見える。神仏混淆で、一切ここを総務所としているらしかった。

老禰宜が、玄関で長々と何か告げている。

程なく非常に鄭重に、

「どうぞ」

と、役僧が、奥へ案内した。

茶が出る。見事な菓子が運ばれてくる。やがて、二の膳であった。また、美しい稚児が銚子を持って来て、給仕についた。

しばらくすると、権僧正の某というのが現れて、

「ようこそご登山下されました。山菜のみで、なにもお構いできませぬが、どうぞお寛ぎあって――」

と、いんぎんにいう。