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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

――背後からも、這い寄る敵を感じていた。

梅軒は、誇った。

鎖をしぼりながら、にゅっと歯で笑ったようだった。武蔵は、その鎖に絡まれている自分の大刀を離すことは知っていたが、機を計っていた。

二度目の、えおほッ、と喚いた声が梅軒の口から走った。彼の左の手にあった鎌は、それと共に武蔵の顔へ飛んで来た。

「オッ!」

武蔵は、右手の剣を離した。

鎌は、彼の頭上をかすめ、鎌が消えると、分銅が飛んできた。――分銅が外れると、鎌が飛んできた。

鎌か、分銅か。

そのどっちに対しても、身を交わすことは甚だしい危険だった。なぜならば、鎌を交わした位置へ、ちょうど、分銅の速度が間にあうようになるからだった。

体ぐるみ、武蔵は、絶えまなく位置を移した。それも、目にとまらないほどな迅さをもってしなければならない。――また、後ろへ後ろへと、狙け廻っている他の敵に対しても、身構えを必要とする。

(われ、遂に、敗れるか)

彼の五体は、漸次硬ばってくる。意識ではない、それは生理的にである。あぶら汗も流れないほど皮膚と筋肉とは、本能的に死闘するのだ。そして髪の毛も総身の毛穴も、そそけ立つのだった。