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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

「悪者っ」

と、罵った。

「…………」

お甲はついと奥へはいってしまって、そこからせせら笑った。

「わたしが悪者なら、おまえたちは、平等坊の宝蔵破りをした大盗ッ人じゃないか。いえ、その大盗ッ人の手下じゃないか」

「何」

背中の伊織を下ろして、権之助は土間へはいって来た。

「盗賊だと」

「白々しい」

「もう一度、申してみろ」

「わかるよ、今に」

「いえっ」

むずと彼女の腕をつかむと、お甲はいきなり隠していた匕首を抜いて、権之助へ突きかけて来た。

例の杖は左に持っていたが、それも使うに及ばず、匕首をぎ取って、お甲を軒先へつきとばした。

「山の衆っ、来てくださいっ。宝蔵破りの仲間がっ――」

何で先刻からそういうのか、とにかくそう叫びながら、お甲は往来へ転び出した。

権之助は、くわっとして、ぎ取った匕首を、その背へ向って、投げつけた。――匕首は彼女の肺を貫いた。きゃッと、朱になって、前へ仆れた。

――すると、何処に潜っていたのか、猛犬の黒は、一声、大きく吠えながら、彼女の体へとびかかった。そして傷口から流れる血をすすっては、陰々と、雲に向って吠えた。

「あっ、あの犬の眼」

伊織はおどろいた。