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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

「ご返杯」

そういったのみで、欣しそうな顔もしないのである。

だが角兵衛は、それを不服と思わないのみか、むしろ尊敬さえ抱いて、

「これで、お頼みをうけたそれがしも、世話効いがあったというもの。こよいは、祝杯でござる、お過ごしなさい」

と、さらに、酌いでゆく。

小次郎は初めて、

「お心添え、かたじけない」

と、少し頭を下げた。

「いや何、其許のような器量人をお家に薦めるのも、御奉公の一ツじゃ」

「そう過大にお買いくだされては困る。元より、禄は望まず、ただ細川家は、幽斎公、三斎公、そして御当主忠利公と、三代もつづく名主のお家。そうした藩に奉公してこそ、武士の働き場所と思うてお願いしてみたことでもあれば」

「いやいや、身共は少しも、其許の吹聴はしないつもりだが、誰いうとなく、佐々木小次郎という名は、もう江戸表では隠れのないものになっておる」

「こうして、毎日、懶惰にぶらぶらしている身が、どうして、そう有名になったものか」

小次郎は自嘲するように、若々しい歯ならびを見せて、

「べつに拙者が、出色しているわけではない。世間に似而非者が多いのでしょう」

「忠利公には、いつでも召し連れいと仰せられたが……して、何日、藩邸までお出向き下さるの」