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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

「さすれば、やむを得ぬ。最後の手段をとるばかりだ」

「まだほかに手段があるのですか」

「岩間角兵衛や小次郎の一行が立ったのはつい昨日のこと。追いかければ道中で行き着く。貴公を先頭にして、ここにいる六名、そのほか小幡門下の義心ある者を糾合して……」

「旅先で討つといわれるのか」

「そうです。新蔵どの、あなたも起ってください」

「わしは嫌だ」

「嫌だと」

「嫌だ」

「な、なぜです。聞けば貴公は、小幡家の名跡をついで、亡師の家名を再興すると、伝えられておる身なのに」

「自分の敵とする人間のことは、誰しも、自分より優れていると思いたくないものだが、公平に、われと彼とを較べれば、剣に依っては、所詮われわれの手に仆せる敵ではない。たとえ同門を糾合して、何十人で襲おうとも、いよいよ恥の上塗りをするばかり」

「では、指を咥えて」

「いやこの新蔵にせよ、無念は一つだ。ただわしは、時期を待とうと思う」

「気の永い」

一人が舌打ちすると、

「逃げ口上だ」

と罵る者もあって、もう相談は無用と、落葉の灰と新蔵をそこにのこして、血気な早朝の客は、わらわら帰ってしまった。

入れ違いに、門前で鞍から下りた伊織は、馬の口輪を引ッぱって、戛々と、邸内へ入って来た。