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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

童心地描図

一

群衆は思い思いに、散らかりかけていた。――試合が終りを告げたからであろう。――助九郎は周りを見まわして、

「おや、何処へ行ったか?」

と、つぶやいた。

「何だ、助九郎」

「丑之助の姿が見当りませんので――」

童心地描図

一

約束だ。ふたりだけで出合う約束だ。

連れの大人たちが皆、野試合に気をとられている隙に、丑之助から、

(来い!)

と、眼合図をすると、一方の伊織は、連れの権之助にも黙って、人ごみから抜け出した。

同時に、丑之助もまた、兵庫や助九郎に悟られぬように、そこから駈け出して、興福寺の塔の下まで行った。

「やい」

「なんだ」

高い五重の塔の下に、小さい二人の兵法者が、睨み合った。

「生命がなくなっても、後で恨むな」

伊織がいうと、丑之助は、

「生アいうな」

と棒を拾った。

刀を持たないからである。

伊織は、持っていた。その刀を抜くや否、伊織は、

「こいつめ!」

斬ってかかった。

丑之助は跳び退いた。伊織は彼が怯んだと思って、ぶつかるようにまた、追いかけて斬りつけた。

丑之助はその途端に、伊織を麻の胚子と思って跳び上がった。そして足は、伊織の顔を、宙で蹴とばしていた。