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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

六

六

伊皿子の「月の岬」の家へ帰ってから、小次郎は、主の岩間角兵衛にたずねた。

「ちと、やり過ぎましたかな? ――今日の御前では」

「いや上乗でござったよ」

「忠利公には、わしの帰った後で、何というておられたかな」

「べつに」

「何か、いわれたろうが」

「何とも、仰せられずに、黙って、お座の間へお出でられた」

「ふむ……」

小次郎は、彼の答えに、不満足な顔を見せた。

「いずれ、そのうち、お沙汰があるでござろう」

角兵衛が、いい足すと、

「抱えるとも、抱えぬとも、いずれでもいい。……だが、噂に違わず、忠利公は、名君と見た。同じ仕えるなら――とは思うが、これも縁ものだからな」

角兵衛の眼にも、小次郎の鋒鋩が次第に見えてきて、きのうから、少し気味わるくなった面持である。愛すべき若鳥と抱いていたのが、覗いてみたら、いつの間にか懐中で鷲になっていた感じである。

きのう、忠利の面前では、少なくも四、五名は相手にしてみせるつもりだったが、最初の岡谷五郎次との試合が、余りに残忍であったせいか、

(見えた。もうよい)

と、忠利の声で、終ってしまったのである。

五郎次は、後で蘇生したというが、怖らく跛行になってしまったろう。