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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁
「あッ?」
「きゃっ!」
と伊織と権之助は突然、絶叫して、お互いの身を抱きあいながら立ち竦んでしまった。
――何となれば、先に渡って行った源助は、かねて備えておいたものらしく、そこの草叢のうちから一本の槍を取り出し、それを持ったと思うと、何げなく越えて来た権之助の方へ向けて、ぴたと白い穂先を突きつけていたのである。
――さては野盗か。
と、とむねを衝たれて、振りかえると、後になった杉蔵も、いつのまにどこから持ち出したか、同様に素槍を持って、伊織と権之助の背後を脅かしているのだった。
「しまった!」
さしもの権之助も悔いの唇を噛みしめて、刹那の当惑に、髪の毛をもそそけだてた顔色だった。
前にも槍。
うしろにも槍。
二本の朽木は、からくも愕きに顫く身を、断層の宙に支えているに過ぎない。
「おじさん! おじさん!」
無理もないが、伊織は絶叫をしつづけて、権之助の腰につかまっている。権之助はその伊織を庇いながら、瞬間、眼をとじて、一命を天意にまかせてしまい、さて、いった。
「鼠賊ども! 謀ったなっ」
すると何処かで――
「だまれっ、旅の者」
と、太い声でいった者がある。