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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

十三日前

一

布令申す事

ひとつ。

来る十三日辰之上刻、豊前長門之海門、船島に於て、

当藩士巌流佐々木小次郎儀、試合仰せ被付。

相手方、作州牢人宮本武蔵政名也。

又、ひとつ。

当日、府中火気厳禁の事。

双方のひいき、助太刀の輩共一切、渡海の事かたく禁制。

遊観の舟、便船、漁舟等も同様。海門往来止たるべし。

ただし辰下刻までの事。以上

慶長十七年四月

各所に、高札が建った。

船着きに。辻に。高札場に。

そこにも旅人がたかっていた。

「十三日といえば、もう明後日じゃな」

「遠国から、わざわざ来る衆も多いそうな。逗留してみやげばなしに、見て行こうか」

「ばかな、一里も沖の船島の試合、見ゆるわけはない」

「いや、風師山へ登れば船島の磯の松すら見える。確とは分らいでも、その日のお船手の固めや、豊前、長門の両岸の、物々しい有様を見るだけでも」

「晴ならよいが」

「いや、このあんばいでは、雨にはなるまいて」

巷の声はもう、十三日の噂ばかりだった。

見物舟や、その他も、海上の往来は、辰の下刻まで停止と布令が出たので、船宿は失望したが、それでも旅客は、当日の景観だけでもと、見晴しの地を心あてに、待ちぬいていた。