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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁
「よう、見ておれよ。うつろになって、見のがすまいぞ。――武蔵どのが、一命を曝して、そちへ伝授して下さるものと思うて今日は見ておるのだよ」
「…………」
伊織は、うなずいた。
そしていわれた通り、眼を炬のようにみはって、磯のほうへ向けていた。
磯まで、一町の余はあろう。波打際の白いしぶきが、眼に沁むほどだったが、人影といっては、小さくしか見えないのである。試合となっても、実際の動作、呼吸などを、つぶさに目撃するわけにはゆかない。――しかし、佐渡がよく見よと訓えたのは、そういう技の末のことではあるまい。人と天地との微妙な一瞬の作用を見よといったのだろう。また、こういう場所に臨むもののふの心構えというものを、後学のため、遠くからでもよく見届けておけといったのであろう。
草の波が寝ては起きる。青い虫がときおりとぶ。まだひよわい蝶が、草を離れ、草にすがっては、何処ともなく去ってゆく。
「――ア。あれへ」
磯の先へ、徐々と、近づいて来た小舟が、伊織の眼にも、今見えた。時刻はちょうど、規定の刻限よりも遅れること約一刻――巳の下刻(十一時)ごろと思われた。
しいんと、島の内は、真昼の陽だけにひそまり返っていた。