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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁
二
「先生――」
伊織は、人のあいだを潜り歩いた。そしてやっと、武蔵の姿を見出した。
武蔵は、そこから少し先の御堂の棟に打ち並べてある、沢山な寄進札を仰いでいたのである。伊織が駈け寄って、
「先生」
と、袖を引いても、黙ったまま、仰向いて、見つめていた。
無数の寄進者からかけ離れて、金額も大きく、札も一倍と大きな板にこう書いてあったのが、彼の眼をはたと引きつけたものだった。
武州芝浦村
奈良井屋大蔵
「……?」
奈良井の大蔵といえば、かつて数年前、木曾から諏訪のあたりへかけて、どれほど尋ねたか知れない名である。
その大蔵が、迷れた城太郎を伴れて、他国へ旅立ったというのを聞いて――。
「武州の芝浦といえば?」
所もつい先頃まで、自分もいた江戸ではないか。ゆくりなくも今、大蔵の名を見出して、武蔵は茫然――別れた者たちを、思い出しているのだった。
二
常でも、忘れているわけではないが。
伊織が、日に日に、成長してゆくにつけても、何かにつけ、思い出されていたのだが――
「もう、夢のように、三年余りになる」
武蔵は、城太郎の年を、心のなかで数えてみた。
神楽殿の大鼓が、その時、急に高く鳴り出した。