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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁
(今に。――永い生涯のうちには、きっと)
と梅軒は、あの眼を、皺のなかに凄く潜めて、呟くのが常だった。
そうした人間のいるこの山。――武蔵にとっては、恐らく、これ以上、危ない地上はない呪咀の山へ、きのう伊織を連れて、上って来たのであった。
お甲は、店の中から、その姿をチラと見て、おやと見送ったが、祭の雑沓に見失ってしまった。
で、藤次に計ろうとしたが、藤次は飲んで歩いてばかりいる。けれど、気懸りでならないので、宵の手すきに、別当の玄関を窺っていると、ちょうど、武蔵と伊織が、神楽殿の方へ出て行った。
いよいよ、武蔵にちがいない。
彼女は、総務所へ行って、梅軒を呼び出した。――梅軒は、犬を引っ張って出て来た。そして、武蔵が、観音院へ帰って行くまで、背後に尾いて見届けていたわけであった。
「……ムム。そうか」
藤次は、それを聞いて、ようやく力を得た心地がした。梅軒がぶつかる気なら――と、やや勝目が考えられて来た。三峰の奉納試合に、梅軒が八重垣流の鎖鎌の秘を尽して坂東の剣術者をほとんど総薙ぎに葬ったおととしの記憶などを思いうかべていた。
「……そうか。じゃあ、梅軒さまの耳へもそのことは入れてあるのだな」