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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

同じ低声で、群れの中から、藤次が答える。

「火縄を濡らすな」

と、いう注意を梅軒がする。

法衣をからげた山法師そのままな僧が、手槍を持って二人もこの殺伐な群れの中に交じっている。

あとは地侍や、ならず者の徒であろう。服装は雑多だが、足拵えは、どれを見ても、軽捷に馴れた装いである。

「これだけか」

「そうです」

「何名?」

お互いに、頭数を読み合う。誰が数えても、自分を加えて、十三名と読む。

「よしっ……」

梅軒はいって、行動する手筈をもういちどそこで銘々に、繰返した。銘々は、黙って頷いた。――そして、では行けとばかり、谷川橋から一筋道の辺りを指して、雲の中へ、掻き消えてしまった。

是ヨリ三十一町

奥之院道

谷川橋の断崖の際にある道しるべ石の文字が、白い残月に、微かに読まれて、その後はただ、渓の水音と風だった。

人が去ると、その間、潜んでいたものが、やがて樹々の梢を渡って躁ぎだした。

これから奥の院まで、無数に見かける猿の群れだった。

猿は、崖の上から、小石を転がし、蔓ぐさに縋り、道まで出て来た。

橋を駈けまわる。橋の裏へかくれ込む。谷間へ飛ぶ。

霧は、その影を、追い廻すように、猿と戯れた。