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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

「先生、どうしてだろ?」

「何が」

「明るくなったのに、お日様が見えないもの」

「おまえの見ている方角は、西ではないか」

「あ、そうか」

伊織は、その代りに、月を見つけた。峰の彼方に落ちかけている淡い月を。

「伊織」

「はい」

「この山には、おまえの親友がたくさんいるな」

「どこにですか」

「それ。あそこにも――」

武蔵が、指さした谷間の樹をのぞくと、親猿を真ん中にして、子猿が、かたまっていた。

「いたろう。はははは」

「何だあ……。だけど先生……猿は羨ましいなあ」

「なぜ」

「親がいるもの」

「…………」

道は胸突である。武蔵は黙って先へ攀じ登って行く。――少し登るとまたやや平地になって来た。

「あの、いつか、先生に預けといた、革の巾着――お父っさんのお遺物の――あれを先生はまだ持っていてくれますか」

「落しはせぬ」

「中を、見て下さいましたか」

「見ない」

「あの中に、お神札の他に、書いた物もはいっているんですから、こん度、見てください」

「ウむ」

「あれを持っていた時分は、私にはまだ、難しい字は読めなかったけれど、今ならもう読めるかもしれません」

「何かの時、おまえ自身で、開けてみるとよい」