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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁
わしが捕まえて来てあげたのだ。虫籠へきりぎりすを入れるような訳には参らぬから、戸をお開けというのだよ」
「あ。そいつが」
小屋仲間は愕いて、泊り番の職方目付を起しに行った。
目付の侍はあわてて出て来て、怠慢のかどを謝りぬいた。閣老などのお耳に入らぬようにと、それも、沢庵へ繰返して頼むのだった。
沢庵はただ頷いてみせ、開けられた小屋の中へ又八を突きとばした。そして自分も共にはいり、中から戸を閉めてしまったので、目付も小屋仲間も、
(どうしたものか?)
と顔を見あわせ、去りも出来ず、外に佇んでいた。
すると沢庵がまた、戸の間から顔だけ出して、
「おぬしらのつかう剃刀があるじゃろう。すまんがよく磨いで、剃刀を一挺、ここへ貸しておくれんか」
と、いう。
何にするのかと疑ったが、この坊さんにそんなことを訊ねていいものか悪いものかの判断もつきかねるのである。ともあれ剃刀を磨いで持って来て渡すと、
「よしよし」
と、それを受取って、沢庵は中から、もう用事はないから寝めという。命じるような言葉であるから、それに反いてはよくあるまいと、目付も小屋仲間も、めいめいの寝小屋へ引き退がった。