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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

三

「……あ」

若い今道心は、戸口の光に射られると、眩しげに顔をあげた。それは、本位田又八なのである。

「おいで」

沢庵は、外から手招きした。

「…………」

今道心は、立ち上がったが、脚が腐りかけてしまったように蹌めいた。

沢庵は、その手を、掻い抱いてやった。

「…………」

いよいよ刑罰に処される日が来た――と又八は観念しきった眼をふさいでいた。脚の節はがくがく顫えた。断刀の莚が目のさきにちらついていた。削げた青い頬に、ほろほろと涙がながれた。

「歩けるか」

「…………」

何かいったつもりだが、声は出なかった。沢庵に支えられている腕の上で、又八は力なく頷いたのみであった。

三

中門を出る、多門を通る、平河門をくぐる。幾つかの門や濠の橋を又八道心はうつつで越えた。

沢庵の後に尾いて悄々と歩く彼の足つきは、屠所の羊という形容をそのまま思わせる姿だった。

――なむあみだぶつ

――なむあみだ、なむあみだ

――なんまいだぶ……

又八道心は、一歩一歩が、死の刑場へ近づいているのだと思って口のうちで唱えていた。

それを唱えていると、死の恐さが少し忘れられて来るからだった。

愈、外濠へ出た。