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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

奔牛

一

奔牛

一

道は、月ヶ瀬の渓流に沿って行くのである。行く程にまた、その道は悪くなるばかりだった。冬を越えた雪解のあとは、通る旅人も稀れだし、この辺りまで、梅花を探りに来る者などは殆どない。

「丑之助さん。おまえ村から里へ来る時は、いつもここを通って来るの」

「ああ」

「荒木村からは、柳生へ出るよりも、上野の御城下へ出たほうが、何をするにも、近いんでしょ」

「けれど、上野には、柳生様みたいな剣法のお屋敷がないものなあ」

「剣法が好きかえ」

「うん」

「お百姓には、剣法はいらないじゃないか」

「今は百姓だけど、以前は百姓じゃねえもの」

「お侍」

「そうだよ」

「おまえも、お侍になる気?」

「アア」

丑之助は、牛の手綱を抛って、渓流のふちへ駈け下りた。

岩から岩へ架け渡してある丸太の端が、渓流に落ち込んでいるのを直して、戻って来た。

すると、後から歩いていた牢人ていの男が、先へ橋を渡って行った。橋の途中からも、向うへ渡ってからも、お通のすがたを、何度も不遠慮に振り顧って、すたすたと山間に隠れて行った。

「誰だろ?」

お通は、牛の背で、ちょっと不気味な気もちに襲われてつぶやいた。丑之助はわらって、