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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

「――最前、彼が熱湯を浴びせられそうになって、大勢の中に、坐ったところを、往来をへだててじっと見ておったが、なかなか自若として、悪びれぬていには、密かに感服した。ああいう性根の児を、商家に飼っておいては、かえってその性根を歪めてしまうかもしれぬ。いっそのこと、わしにくれぬか。わしが小倉へ連れ帰って、手飼の者として育ててみたいが」

佐渡から、望まれると、

「願うてもない……」

と、お勢も同意し、お鶴もよろこんで、早速、伊織を呼んで来ようと席を立つと、その伊織は、さっきから近くの木陰に佇んで、そこの相談をのこらず聞いていたらしい。

「厭か」

皆に、意志を訊かれると、もちろん厭どころではない。ぜひぜひ小倉とやらへ連れて行ってくれという。

船出は間もない――

お鶴は、佐渡がそこでお茶を喫んでいるまに、着物よ袴よ、笠よ脚絆よと、自分の弟でも旅立たせるようにいそいそした。生れて初めて、袴という物を穿き、歴乎とした武家の随身になって、伊織は、やがてお供をして船へ移った。

夕焼け雲に、黒い帆の翼を張りきって、船は潮路を豊前の小倉へ立った。

お鶴さんの顔――

御寮人の白い顔――