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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(七)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 350,912 字 · 702 頁

青空文庫

無為の殻

一

――空しく禅師のお帰りのみを待っているわけではない。わしも修行と思って、町住居しているのだから」

山門といっても何の金碧もない茅葺門。本堂も貧しい寺だった。

又八道心は、そこの庫裡のわきにある寝小屋の内へ友を導いた。

まだ彼は、正式にここの寺籍にはいっていないので、禅師の帰るまでそこに塒を与えられていた。

武蔵は、時々、彼をここへ訪れて、夜更けまで話しては、帰って行った。もちろん二人が、旧交を取りもどし、又八も一切を捨てて、こうなるまでには、――そこに、江戸の地を離れてから以後の話も残ってはいるが。

無為の殻

一

話は、以前になるが。

去年。――柳営に仕官の望みを絶って、伝奏やしきの半双の屏風に、武蔵野之図を一掃に描き残したまま、江戸の地を去った武蔵は、あれからどう道どりを取って来たか。

時には、忽然とすがたを見せ、時には飄然とすがたを消し、峰のふところに遊ぶ白雲のように、武蔵の足跡は、近ごろ殊に定まらなかった。

彼の歩みには、確とした一つの目的と、一定の法則があるようであってまた、ないもののようでもあった。

彼自身は、ひたすら一筋の道をば、脇目もふらず歩いているかに思われるが、傍から眺めると、自由無碍な、いかにも気ままな道を歩いたり、止まったりしているように観えるのだった。